金曜日のきおく

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一昔前、休日前の金曜日ともなれば、働き盛りのサラリーマンやOLたちが夜の繁華街に繰り出して、仕事で溜まったストレスを発散するために、居酒屋で同僚とお酒を飲んだりカラオケで流行歌を唄ったり、あるいはクラブやディスコで踊って汗を流したりする光景が当たり前でした。
花の金曜日と謳われ、俗に云う「花金(はなきん)」と呼ばれていた時代です。その前の時代は、休日は日曜日と祝日だけと決まっていました。

 
土曜日が休日の仲間入りを果たしたのは、国家公務員の完全週休二日制を実施した平成に入ってからのことです。それに伴って、余暇の過ごし方も少しずつ変わってきました。週末を利用して家族や友人たちと旅行やレジャーに出かける人びとが増えたのも、実はこの頃からだと云われています。

 
ところが最近は、大手企業の中には週休三日制を導入するところが増えてきました。本人が希望すれば、週のうち四日間の勤務時間を伸ばして、その一方で休日を三日間にするというのです。

 
その背景には働き方や暮らし方の変化が関係していると云われています。いまや共働きが当たり前になる中で、子育てや介護など様々な社会要因がそこに加わっています。若い世代では週休三日制を上手く利用して別の企業で働いたり、個人営業主として精力的に活動する人びとも現れ始めています。企業の方でもダブルワークを認める動きが活発になってきています。
 
こうなると週末の金曜日に浮かれていた頃が懐かしいですが、休日前のひと時、花は咲かせなくてもせめて足どりだけは軽くありたいものですね。

 

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