香りのきおく

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街の大きさこそ違うけれど私たちが都会に住んでいると気がつかない、
「ささやかなこと」が実はたくさんあったりします。

 

その一つに「香り」が挙げられます。
仕事で出先から次の現場まで
タクシーや地下鉄を利用することは日常茶飯事です。
あるいは、休日でも映画館やデパートで一日過ごす
なんてこともしばしばあると思います。

 

でも考えてみると、「どのシーンもよく思い出すことが出来ないのは何故なんでしょう?」
皆さんが思い出せる印象的なシーンの中にはきっと、
何かしらの「香り」が登場してこないでしょうか?

 

仕事でこのあと大事なプレゼンテーションが控えているのに
運悪く渋滞につかまり、一向に前に進む気配がありません。
近道を知っていたあなたはタクシーを降りて歩き出します。
その途中、 ショーウィンドウが並ぶ街中を逸る気持ちで歩いていた
あなたの足が止まります。
カサブランカの甘い「香り」が辺りで漂っています…
不思議に思っているあなたの目の前を、小さな教会から
純白のドレスに身を包んだ花嫁さんが参列者に見送られて出てきます。
その様子を眺めつつ、気をとり直してあなたは歩き出しますが
足どりはどこか軽やかになっています。

 

私たちの『きおく』は「香り」と密接に結びついています。
記念日でなくても、誰かに花を贈ったりワインを愉しんだり。
ささやかだけれど、思い出に残るような日常の工夫をしてみてはいかがでしょう。

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