アグロフォレストリー

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森を再生するプロジェクト

 
二酸化炭素の増加による“地球温暖化”が叫ばれて随分経ちましたが、先進国の温暖化防止対策も遅々として効果が現れてないのが現状です。温暖化の原因は途上国の森林破壊が原因の一つだと云われてますが、近年は南米を中心に森を取り戻すための新しい試みが注目されてます。その試みは「アグロフォレストリー」という農林複合経営のことで、日本人の移住者が多いブラジルのトメアス地域が成功を収めてます。

「アグロフォレストリー」という用語はアグリカルチャー(農業)とフォレストリー(林業)を組み合わせた造語ですが、その歴史は古くて1970年代中期にカナダ国際開発研究センターの森林学者:ベネ氏らが主導する思想的研究の中で生まれました。森林破壊は熱帯地域で行われる焼き畑が原因とされてますが「アグロフォレストリー」では農作物と樹木を同じ場所で育てて森の再生と農業を両立させるのが特徴です。

 

地球を再生するプロジェクト

 
トメアス地域では最初に短期間で収穫可能なバナナを植えて、その次は中期的な時間で収穫可能な胡椒やアサイーなどを植えていきました。そして収穫までに最も時間がかかるカカオは最後に植えていき、農作物を収穫して収入を得ながら段階的に樹々を育てる方法をとりました。「アグロフォレストリー」が“森を作る農業”だと云われるのは、このように長期的な視点で農業を行う考え方が根底にあるからです。

「アグロフォレストリー」の大変な点は多くの農作物や樹木を育てるので管理面で苦労があることと、森を育てるので時間がかかることです。また、従来の農業とは異なる手法なので正しい知識を持った農民を育成する必要があります。温暖化防止は世界各国の協力が不可欠ですが、私たち一人ひとりが、それぞれに出来ることを考えることも大切ですね。

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